January 05, 2007

名曲解説〜マーラー交響曲第5番 嬰ハ短調

コンポーザーXの名曲解説
    〜マーラー交響曲第5番 嬰ハ短調


マーラーの交響曲第5番嬰ハ短調は
1901年から翌年にかけて作曲されている。
マーラーの交響曲作品としては5番目の作品となる。
この作品はそれまでの2番から4番まで続いた
「子供の魔法の角笛」の素材を用いた、
歌曲つきの交響曲とは異なり、純粋な器楽による交響曲を、
意図した三部作(第5、6、7番)の、最初の作品にあたる。


この3つの交響曲は、声楽を用いない事以外にも、
表題を持たなく、複音楽的手法を多く用いるなど、
構成面でもかなり古典的な作曲方を
用いている事にも共通点がある。

この時期、マーラーはバッハ協会から出版される
「バッハ全集」の新刊が出ると、それを熟読していたようで、
「バッハには毎日、教えられる」と、
マーラーがアルマと結婚するまでの間、
友人であったであったナターリェ・バウアー=レヒナーに
語ったと伝えられている。

マーラーは1897年からウイーン宮廷歌劇場の
音楽監督として、その要職にを勤める多忙の中、
夏休みを利用して、オーストリア、ザルツカンマーグートの
湖畔でスケルツォを含む2つの楽章を書き上げた。
1902年にはマイエルニッヒに戻って、
交響曲の続きを書いたが、
その3月に、マーラーはアルマシントラーと結婚し、
彼の人生も書きかけの交響曲も、大きな変化を見せる事になる。
この時期の、彼の甘い生活感情が、
第4楽章のハープと弦楽合奏のアダージェットに
見ることが出来ると言う事も出来るかもしれない。

初演は1904年の10月8日にケルンで、
作曲者の指揮のもと行われた。
翌年にはベルリンでニキシュの指揮で演奏されるなど、
欧州各地でも引き続き演奏された。
初演の後でマーラーは「これは呪われた作品だ。
誰にも理解できない。」と言うと、
1907年、1909年にもさらにスコアに手を入れ、
改訂を重ねる事となる。

この作品は”人生の頂点に達し、陽光の下にある”人間の作品であり、
闇から光へと、悲劇から歓喜へと進行して行く
輝かしい交響曲として、完成を見る事になった
と言っても良いかもしれない。

マーラー交響曲第5番 嬰ハ短調

第1楽章:葬送行進曲(正確な歩みで、厳格に、葬列のように)
      嬰ハ短調 2/2拍子 A-B-A-コーダの構成からなる葬送行進曲。
      葬列を告げる印象的なトランペットによるファンファーレによって、
      始まるこの楽章は、冒頭の3連符による動機がこの楽章の厳しく悲愴な
      曲想を決定付けている。しかしこの曲は決して感傷的な悲哀の情を現すような
      曲ではなく、むしろ厳格で厳しく抑制された歩調が、一層悲しい雰囲気を
      醸し出す事に重要な役割を果している。
   
第2楽章:(嵐のように激しく、いっそう大きなはげしさをもって)
      イ短調 2/2拍子 ソナタ形式
      低弦とファゴットによる激しい動機の後、ヴァイオリンが高音域で泣き叫ぶような
      激しい第1主題が提示される。第2主題はチェロがヘ短調で歌われるが、
      これにヴァイオリンの陶酔的なオブリガートが絡み新たな展開を見せる。
      悲壮感さえ漂う強烈な意思に貫かれる楽章。
   
第3楽章:スケルツォ(力強く、速すぎず)
      ニ長調 3/2拍子
      変ロ長調とヘ短調の二つのトリオを持つスケルツォ楽章。
      舞踊的な性格を持つ楽章だが、精巧な対位法技術にあやどられた、
      交響的な重要性をこの楽章に与えている。
      多様な変化と感情表現に満ちたマーラー的な優れた楽章。
   
第4楽章:アダージェット(きわめて遅く)
      ヘ長調 4/4拍子
      ヴィスコンティ監督の映画「ヴェニスに死す」(1971年)で使用された事から、
      大変有名になった楽章。ハープと弦楽合奏という編成の簡素さから、単独の曲として
      取り上げられる事も多い。ウイーン世紀末的な退廃と曲線的な旋律美をもち、
      「アルマに対する愛の告白」というメンゲルベルクの言葉も、思わず納得させられて
      しまうほど、美しいロマンツェである。
      
第5楽章:ロンド(アレグロ、アレグロ・ジョコーソ、生き生きと)
      ニ長調 2/2拍子 ロンド・ソナタ形式
      巨大な展開部を持つロンド・ソナタ。マーラーの作品の中でも、極めて複雑な
      構成を持つ楽章の一つで、極めて対位法的な手法が随所に発揮されている。
      この楽章の中にはアダージェット楽章の楽想や、第2楽章のコラール主題も
      使用されており、諸楽章の総括的な意味合いを持つ楽章でもある。
      終結部では走句がヴィルトゥオーゾ的な早業を見せつつ、壮大なクライマックスを
      築いて、この悲しくも壮麗な交響曲の幕を閉じる。


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この曲のコンポーザーXの試聴リストは下記にあります。
(コンポーザーXの本棚/CDラック)

コンポーザーXの怒涛のCD批評
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この記事へのコメント
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
この曲、サブタイトルが付いていたのですか?。
興味深いです。
今後のエントリ、期待しています。
Posted by yurikamome122 at January 07, 2007 12:32
yurikamome122 さん
明けましておめでとうございます。こちらこそ今年もよろしくお願いします。しかし、新年早々にやらかしてしまいました・・・(^^ゞ。サブタイトルは勿論ありません!失礼しました。
コメントありがとうございました。
Posted by コンポーザーX at January 07, 2007 15:59